「作品は締め切りが決める」 [another]
「作品は締め切りが決める」
名サウンドエンジニア髙橋卓二さんの名言。
音が持つ意志に、音を鳴らす人に
限られた時間いっぱい向き合う卓二さん。
生みのつくり手はそれでしかないと出てきたものを貫き通して訴える。それを受け取るのは相当なエネルギーとスキルとでかいハートが要ります。その曲がどう生きていきたいのかを本人以上に受け取っていくつもの作品に仕上げてこられました。
「音はどうにでもなる任せて。後にはどうにもできない気持ちを乗せることに集中して」
初めて一緒にレコーディングをした時に掛けられた言葉でした。
ベストな音を引き出して創る。
レコーディングもステージもどんな状況でもばっち来いの卓二さんはヒーロー。絶対大丈夫と安心して思い切り唄って弾いて創りました。
(卓二さんがレコーディングに携わってくださった作品、【花時】全レコーディング・【Surround】「メッセージ」「涙のち晴れ」ミックスとマスタリング。他全曲のリマスタリング)
(卓二さんがレコーディングに携わってくださった作品、【風の子】母校永山小学校120周年記念合唱曲、レコ下見・ミックスマスタリング)
私のCDやライブの音響でも沢山お世話になりました。
CD「花時」は全て卓二さんのレコーディング・ミキシング・マスタリング。
制作最後の詰めでは
あれだこれだそうだこれだ…
できたぁぁ!!
…!やばい!!
明け方入稿先のポストへ直接マスターCDを投函し、某店にて牛丼で乾杯したのも鮮明です。
(投函したマスターCD)
またすぐこの感じを味わいたいな!と言ってくださったあの時の表情は焼きついています。
なのに自身のCD制作で中々これだ!と、ならない私。
投げつけられたスーパー腹立つ言葉も
誰よりもけしかけようとしてくれたのは知っていました。
企画CDを制作した時には音ではない話で喧嘩気味になり私に腹を立てたでしょうが、良いものを創りたいというのは同じでたぶんわかってくださっていたと思います。
最近では録りかけた音源もあり、私がどうしてもボーカルに納得がいかずそれも待っていてくれてました。
突然すぎた。
倒れたと知りICUへ会いに行った時、早く起きなかったら一枚掛かっただけの布を引っ剥がすと言いました。反応?もされていたようで少し復活の兆しもみえ、戻ってくると信じていました。祈りました。
11月1日
倒れてから11日目。二度と叶わなくなりました。
目を瞑ったままでも最後の最期までみせた復活劇にもバシバシ喝を入れられました。
「梨奈ちゃん!いいから早くつくりなさい!!」
あれだけ止まらなかった涙も卓二さんの前では笑いに変わる。
変わらないスタジオには息子さんの書「集中第一」、娘さんの力作「大名お父さんの顔」。あと看板猫もなかさんには小さい頃からかじられ続けています笑
スタジオ皆さんにも気合を入れられました。
今も大きな背中が見える。名言も喝も聴こえる。
ブルースが好きな卓二さん。
ギターをアンプに直挿しする感じの、音や人がそのまま出るようなシンプルな音づくりが大好きでした。
今はソフトとして全く同じに使える機材も、敢えてアナログの機材で使われていたことも卓二さんだな思います。
北海道を代表する名サウンドエンジニア。道内はもちろん各地からも沢山悔やまれる声が届いています。
労災で一週間寝込んだ事もありましたね。ずっと無理を承知で命を削ってできた音は沢山の作品の中で永遠に生き続けていきます。
私も一緒に創った作品をもって成し得なかった曲の制作も卓二さんが居ると想い創ります。そちらへ腹立つくらい最高の作品を届けられるように。
大変な中ご対応くださったご家族皆様、ご連絡をくださった皆様もありがとうございました。
どうか皆様もお体には気をつけて。
大好きな 大好きな 卓二さん。
まだまだまだまだ創って欲しい作品がありました。
何でだどうしてだ…と未だ思うけれど、大変お疲れ様でした。
ゆっくりお休みください。十分休んだらそちらからアドバイスください。または生まれ変わるなりこちらに戻ってきてください。…キリがない。
ご冥福をお祈りします。
本当にありがとうございました。
2019-11-05 19:03